安保雅博法律事務所の特色

債権回収の豊富な経験と実績

債権回収は、回収の最大化に向けて最善の方針を立てること、そして、損失の最小化を図るために回収可能性を的確に見極めることがポイントです。

回収の最大化に関しては、回収の引き当てとなる財産を流出させないように速やかに保全手続を採ったり、事案や相手のタイプによって臨機応変に交渉方法を変えたり、財産調査を尽くして差押えのターゲットを絞り込んだりするなど、最善の方針を立てる必要があります。それには、債権回収の知識と経験が必要です。

当事務所は、債権回収会社(サービサー)の代理人として、7年以上の間、数多くの債権回収事案(財産調査、所在調査、仮差押、仮処分、交渉、訴訟、強制執行)を経験し、回収に繋げてまいりました。この経験とノウハウが強みです。

損失の最小化に関しては、債権回収にも一定の経費がかかりますので、必要以上に傷口が広がらないように回収可能性を見極める必要があります。もちろん、相手の財産状況などは当初は分からないことが多いので(判決などの債務名義がない場合には財産調査にも限界があります)、結果として費用倒れに終ってしまうことはありますが、事前にご説明を尽くすようにしています。弁護士費用はもちろんのこと、保全、交渉、訴訟、執行、財産調査の各手続にかかる実費(印紙、切手、手数料、郵送料など)についても、できる限り細かくお伝えすることを心掛けています。

事案の内容、回収可能性、債権額、解決までにかかる時間などを考慮し、完全成功報酬制を採用することもありますが、逆に、一見して回収が難しいような事案の場合には、ご自身でできる方法をお伝えしています。漫然と「とりあえず、内容証明を出しておきましょう。着手金は●円です」という無責任な提案はしておりません。

<取扱内容>

・貸金、保証金、過払金、売掛金、請負工事代金、修理代金、リース料、立替金、賃料、管理費、給料・残業代、退職金、役員報酬、診療報酬、損害賠償、保険金など様々な債権の回収に対応しています。

・事業の内容、債権の性質・金額によってはご相談をいただけない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

<債権回収のご相談の流れ>

1 まずは、お持ちの証拠を拝見しながら、これまでの経過や相手がどのような主張をしているのかなどの事情を聴き取ります。

2 その上で、相手に対してどのような請求ができるのか、時効の問題は大丈夫か、裁判で勝てるのか、回収可能性はあるのかなどを見立てます。

3 そして、考えられる選択肢をご提示し、その手続にかかる諸経費を明示して、その案件ではどのような手続を採るのがよりよいかを一緒に考え、方針を決めます。

<各手続の簡単な説明 -仮差押->

仮差押は、裁判をする前に、相手の知らぬ間に財産(不動産や預貯金などの債権)を凍結させる手続です。仮差押が成功すれば、裁判をして、勝訴判決を基に強制執行(「仮」差押に対して「本」差押と言います)をして凍結した財産を回収することができます。

仮の手続ですので、一定の保証金を納める必要があります(勝訴判決後に返還されます)。

どのような場合に保全手続(仮差押)を検討するかですが、①仮差押の対象となる相手の財産が特定でき、②保証金(担保金)も準備でき、③裁判でも勝てる見込みがある場合が考えられます。

順番に説明します。

①相手の財産の特定

仮差押のターゲットとなる財産を特定しなければ、裁判所の審査は通りません。例えば、預貯金であれば、「○○銀行●●支店」です。口座番号などは不明でも構いませんし、ネットバンクは支店を特定しなくても大丈夫です。なお、売掛金であれば、「㈱〇〇と令和元年●月頃に取引した商品○○の売買代金」などです。

仮差押が認められた場合、まずは裁判所から銀行に文書が送付され、凍結処理された後、裁判所から相手に文書が送付されます。銀行から裁判所に預金の有無や残額などについて回答がなされますので、それにより成功したか失敗したか分かります。失敗した場合には、相手にこちらの動きが分かってしまうことになり、回収が困難になるリスクが生じますので、仮差押をするには確度のある情報が求められます。

②担保金(保証金)

仮差押は仮の手続ですから、本番の裁判(訴訟)で敗訴してしまった場合には、相手はその間、凍結した財産を引き出せないなどの損害が生じてしまう可能性があります。このような相手の損害賠償請求を保証するのが担保金です。金額は、例えば、売買代金200万円を請求する仮差押のケースでは、不動産の場合は固定資産評価額の10~25%、預貯金の場合は預貯金額の10~30%が目安となっています。これを一定期間内(5日間~1週間)に法務局に現金で納める必要があります。

③裁判で勝てる見込み

仮差押が認められても、本番の裁判で敗訴してしまうと凍結した財産を回収することはできませんし、損害賠償のリスクもあります。ですから、基本的には、裁判で勝てる事案が前提となります。ただし、一見すると証拠が弱かったとしても諦めるべきではなく、金額や回収可能性の観点から、一定のリスクを冒してでも申し立てるべき事案はあると思います。立証(疎明)の工夫も弁護士の腕の見せ所といえます。

<各手続の簡単な説明 -訴訟->

訴訟の基本的なルールは?

・相手が裁判書類(訴状)を受け取ったにもかかわらず、何も反論せず、裁判に欠席すれば、証拠がなくても勝つことができます。これを自白・欠席判決と言います。

・相手が争った場合には、請求する側(原告)が証拠を出せなければ負けてしまいます。これを立証責任・証明責任と言います。

訴訟の費用はいくらかかるのか?

例えば、請求額200万円の売買代金請求訴訟の場合、提訴時に、収入印紙が15,000円、切手代が約4,000円かかります。また、訴状が相手に送達できない場合には、相手の所在調査をしなければなりませんので調査費用がかかります。それ以外に、別途、弁護士費用がかかります。

裁判所HPで「手数料額早見表」により確認できます。

https://www.courts.go.jp/saiban/tetuzuki/tesuuryou/index.html

訴訟はどのくらい時間がかかるのか?

・提訴から第1回期日まで約1か月半かかり(訴状が相手に送達できない場合には延期になります)、争いがない事案の場合には、第1回期日で審理は終了し、約2週間後に判決となることが多いです。争いがある場合には、約1か月に1回のペースで期日が開かれ、反論、再反論の応酬、尋問、和解勧告などを経て、最終的に判決となります。判決まで1年以上かかる場合もあり、控訴、上告となれば、さらに解決まで時間がかかることになります。

<各手続の簡単な説明 -財産調査->

判決を取得した後(公正証書の作成後)は、「弁護士会照会(23条照会)」による財産調査が有用です。これは、弁護士法に基づく調査で、照会先は回答義務を負います。1件あたりの手数料は4000円+郵便料です。金融機関からは預貯金残高や取引履歴など、保険会社からは保険契約や解約返戻金など、通信会社からは相手方の住所や料金引落口座など、運輸局からは車両所有者などの情報を収集することができます。これにより、差押えのターゲットが絞り込みやすくなりますので、実務上とても有益です。

なお、令和241日に施行された改正民事執行法では、「財産開示手続」が強化され、「第三者からの情報取得手続」が創設されました。今後はこれらの活用にも注力したいと考えております。

<各手続の簡単な説明 -強制執行・差押え->

仮差押の場合と同様に、財産の特定が必要です。預金の場合には、相手の口座の残額が一番多くなる日を考えて、差押えを狙います(そのためには弁護士会照会による取引履歴開示が有益となります。

預貯金の強制執行の費用は、申立時に収入印紙4,000円、郵便料約3,000円です。