民事執行法の改正(財産開示手続の見直しと第三者からの情報取得手続の創設)

2020-05-06

令和2年4月1日に改正民事執行法が施行されました。

「民事執行法」というのは、強制執行(差押え)などの手続を定める法律です。

今回の改正でいくつか変わりましたが、債権回収との関係で大きな改正点は、「財産開示手続の見直し」と「第三者からの情報取得手続の創設」です。

制度の説明の前に、強制執行をするために必要なアイテムがありますので、説明しておきます。

それは「債務名義」(さいむめいぎ)です。

債務名義は、簡単に言うと、相手方に請求する権利を証明した公的な文書です。

「判決」が一番イメージしやすいと思います。それ以外には、離婚や遺産分割などの調停で作成される「調停調書」、簡易裁判所の「支払督促」、公証役場で作成される「公正証書」などがあります。

強制執行に使えるかなど細かな点は弁護士に確認してもらうとして、ひとまずこういったものが必要だということがイメージできればよいと思います。

冒頭の「財産開示」も「第三者からの情報取得手続」もこの債務名義があることが前提となります。

さて、話を戻しまして、「財産開示」の説明をします。

財産開示は、債務者(請求の相手方)を裁判所に呼び出して自分の財産内容を開示してもらう手続です。

しかし、これまではほとんど使われていませんでした。なぜなら、債務者が出頭命令に無視した場合などのペナルティがないため、実効性に期待ができなかったからです。

この点が今回の改正で改善されました。

債務者が正当な理由なく財産開示の日に裁判所に出頭しなかったり、虚偽の陳述をした場合には、「6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金」という罰則を科すことができるようになったのです。

これにより、請求を無視してきた債務者や財産を隠す債務者に対しては、一定の効果が期待できると思います。

次に、「第三者からの情報取得手続」です。

これは全く新しい手続で、簡単に言うと、相手方の預貯金・給与・上場株式・不動産などの情報を関係機関から提供してもらう手続です。

このうち、「給与」については、請求する権利が養育費や婚姻費用、生命身体の被害に関する損害賠償請求に限定されています。

また、「不動産」については、まだ運用が開始されておらず、令和3年5月16日までにスタートするようです。

「給与」と「不動産」については、「情報取得手続」を申し立てる前に、「財産開示手続」をしておかなければならないことになっています。

情報提供してもらう関係機関は、金融機関、証券会社、市区町村、年金機構、登記所などです(どこに情報提供してもらうかは自分で決める必要があります。)。

この制度により、債権回収のための情報収集手段が一つ増えたことになりますが、普及していくかは未知数です。

なぜなら、類似の情報収集手続がすでにあるからです。

それは「弁護士会照会」というものです。弁護士法23条の2という条文を根拠としていますので、我々は「23条照会」と呼んでいます。この制度に基づき、弁護士会を通じて、金融機関などから債務者の預貯金等の情報を収集し、回収に役立てています(ちなみに、現在、私は23条照会の審査の担当をしています。)。

23条照会と裁判所の第三者からの情報取得手続との大きな違いの一つは、債務者への連絡の有無です。

情報取得手続では、裁判所から債務者に対して情報提供したことの連絡がいくことになりますが(不動産、給与は情報提供命令が債務者に送達され、預貯金・株式は情報提供から1か月後に債務者に通知されます。)、23条照会ではそのようなことはありません。

預貯金の情報取得手続をした場合、ヒットしていれば、債務者に通知がされる前に強制執行をすればよいですが、ヒットしなかったときには、債務者は強制執行を予測して預貯金の払戻しをしてしまうかもしれません。そのため、まずは23条照会で調査するのがよろしいのではないかと思います。

当事務所では、新たな制度のノウハウの蓄積を図るため、当面の間、債務名義をお持ちの方の「財産開示」と「第三者からの情報取得手続」については、初回ご依頼分の着手金を無料とさせていただくことにしました(ただし、当事務所の方針でご依頼をいただけない債権はございます。また、ご依頼件数が多くなった場合には変更させていただくことがございます。)。

財産開示や情報取得手続後に強制執行をする場合には、養育費・人身損害賠償は着手金なし、それ以外は着手金を50,000円~とさせていただきます。

成功報酬は、養育費・人身損害賠償は回収金額の10%、それ以外は20%(税抜)とさせていただきます。

よろしくお願いいたします。